ルナエンバシー社が月の土地を販売する根拠としている宇宙条約に対して、月条約とはどんなものなのでしょうか。
・月協定って何?
・月協定に参加している国は?
・月協定は効果はあるの?
といった疑問にお答えしたいと思います。
【参考】月の土地以外にも、星に名前を付けて大切な人に贈ることもできます。
月協定って何?
月協定は通称で、正式名称を「月その他の天体における国家活動を律する協定」と言います。
簡単に言えば、月や惑星などの天体を探査する際の基本原則を定めた条約です。
この協定は、月や他の天体における活動について、より詳細に定めたものです。
月協定は、1979年12月14日に国連で採択され、1984年7月11日に発効しています。
月協定は大きく3つの内容で構成されています。
平和的利用
月の利用を平和的利用に限定している。脅迫、武力行使、その他の敵対活動、敵対活動の脅迫等が禁止されている。
(第3条)
1.
月はもっぱら平和的目的のためにすべての締約国によって利用されるものとする。2.
月における脅迫、武力行使その他の敵対活動又は敵対活動の脅迫は禁止される。そのような活動を行うために月を利用すること、又は、地球、月、宇宙船、宇宙船の要員若しくは人工宇宙物体に関するそのような脅迫に従事するために月を利用することもまた禁止される。
環境の維持
月の環境の既存の均衡を破壊する手段を防止することを締約国に求めている。また、地球外物質のちゅきゅへの持ち込みによる地球環境への影響の防止が求められています。
(第7条)
1. 締約国は、月の探査及び利用を行う上で、月の環境の悪化をもたらすことによる又は環境外物質の持ち込みによる月の有害な汚染による又はその他の方法によるを問わず月の環境の既存の均衡の破壊を防止する措置をとるものとする。締約国はまた、地球外物質の持ち込みその他の方法による地球の環境への有害な影響を防止する措置をとるものとする。
領有の禁止
月及びその天然資源は人類の共同財産と定義。個人などの資源、土地の所有権を否定する内容になっています。
(第11条)
1.月及びその天然資源は人類の共同財産であり、この協定の規定、とりわけ本条5の規定に表現される。
2.月は、主権の主張、使用若しくは占拠その他のいかなる手段によっても、国家の専有の対象にはならない。
3.月の表面又は地下若しくはこれらの一部又は本来の場所にある天然資源は、いかなる国家、政府間国際機関、非政府間国際機関、国家機関又は非政府団体若しくは自然人の所有にも帰属しない。月の表面又は表面下に対する要員、宇宙機、装備、施設、基地及び設備、及びこれらの表面又は地下に接続する構造物を配置することは、月の表面又は地下若しくは月のいずれかの地域に対する所有権を生じさせるものではない。(略)
月協定に参加している国は?
月協定に批准している国は、オーストリア、オーストラリア、ベルギー、メキシコなど13か国、署名国はフランスなど4か国にとどまっています。
日本は批准していません。
月協定は効果はあるの?
発効から30年以上経過した2016時点でも締約国が少なく、またほとんどの締約国は宇宙開発自体を行っていないため、現状ではほとんど影響力を持っていないということのようです。
ルナエンバシー社は、以下の点を主張しています。
・国連に加盟する約185の国家のうち、たった6カ国しかこの協定を支持していない
・他の全ての国々(その中には全ての宇宙旅行国家アメリカ合衆国、ロシア、中国などを含みます)は署名を拒否。
・アメリカ合衆国は、明確に「この協定が、企業や個人による月やその他の天体の資源の営利目的の開発・利用を妨げる」として、署名を拒否。
逆にアメリカは個人や法人による資源の所有を認める2015年宇宙法を成立させているとのこと。
まとめ
いかがでしょうか。
月協定は国連で採択、発効しており、月の個人所有などを禁止しているものの、締約国が少ないことから、実際には機能していない協定のようです。
いまのところ、月の土地を購入しても月協定により所有権を否定されることはなさそうです。将来はどうなるかわかりませんが。
この記事が皆様の何かのお役に立てば幸いです。

