ナス栽培で、株が大きくならない、育たない等、上手くいかないという経験は無いでしょうか。
この記事では、
・ナスが大きくならない、育たない。なぜかな?
・ナスをうまく育てるために気を付ける点、注意点は?
・生育不良となったナスの復活方法は?
という疑問にお答えしていきたいと思います。
この記事の信頼性
この記事の筆者は家庭菜園を始めて7年以上です。市民農園での露地栽培とプランター栽培で30種類以上の野菜栽培を行っています。ナスは毎年育てています。
【ナス栽培】葉が小さい・苗が大きく育たない原因【気を付ける注意点】
ナス栽培栽培で、大きくならない原因で想定されるものは以下の通りです。(露地栽培・プランター栽培共通です)
・水不足
・肥料が足りない
・気温が低すぎる
・定植時に根を傷つけた
・日当たりが悪い
・連作障害
・土が悪い
・風通しが悪い
・老化苗を植えてしまった
それぞれの注意点を理解して育てると失敗しにくくなると思います。順番に説明していきます。
水不足
1点目は、水不足です。
なすは、生育に水が多く必要な野菜ですので、水はたっぷり上げましょう。
しおれている・元気がないというケースで多いのが、プランターが乾ききっているときです。土の表面が乾いたらたっぷりプランターの下から水が出てくるまでたっぷりあげましょう。
畑や庭など露地栽培の場合でも、ナスは乾燥が苦手ですので、特に、晴れの日が続くような時期は、早朝・夕方にたっぷり水をあげましょう。
水やりに関しては、以下の記事も参考になると思います。
肥料が足りない
2点目は、肥料が足りないです。
ナスなどの実を収穫する野菜は多くの肥料を必要とします。
特に、ナスは「茎・葉が育つ栄養生長」と「果実が大きくなる生殖生長」が同時に進むので、肥料や水を多く必要とします。肥料が不足では生育が極端に悪くなります。
肥料不足で、窒素が足りなくなると生育不良で葉色が薄く、下葉から黄色く変色するので、このような症状の場合は、肥料不足を疑いましょう。
自分で作成した自家製有機肥料だけで栽培するケースなどで、窒素分となる豆類・魚・肉が少ない場合に良く見られるようです。
生育状態があまり良くない場合は、や収穫時期には、2週間に1回株元に化成肥料を追肥(有機肥料でもOKです)して、水をたっぷりあげて様子を見ましょう。
個人的におすすめなのは、液肥です。吸収もよく、効果がすぐ出るためです。
私の愛用は液肥は、安くて効果を実感しているハイポネックスです。2週間に1回あげて様子を見ます。
気温が低すぎる
3点目は、気温が低すぎる、です。
ナスの生育適温は、昼23~28℃、夜間16~20℃です。苗を植え付ける時期(4月下旬以降)では、まだ気温が低いことがあります。
気温が低いとどうしても生長が遅くなります。7~8℃以下の急な寒さに当たると最悪枯れてしまうこともあります。
早く植えすぎてしまった、もしくは寒い日が続く場合は、防寒対策をしましょう。プランターや鉢であれば、いったん室内に取り込めばOKです。露地栽培の場合は、以下メモを参考にしてください。
なお、露地栽培であれば、マルチで地温を上げて寒さ対策するのも有効です。
また、風が冷たい時期には、苗の四方に支柱を立て、たい肥の空き袋などをかぶせて行燈(上は開ける)を作ると風よけ・寒さ対策になります。
プランターの場合は、プランターごと通気口を開けたビニールなどで覆うことで、気温調節することもできますね。
ちなみに、寒さに弱いナスの越冬にもチャレンジしています。ご興味があれば、以下記事をご覧ください。
▶ナス栽培で越冬は可能か?メリットは?【家庭菜園での越冬記録】
定植時に根を傷つけた
4点目は、「定植時に根を傷つけた」です。
何らかの原因で、根っこが傷むと、傷口から細菌が入って病気になったり、水や栄養が十分に吸収できず生育が遅れたりと生育に悪影響を及ぼすことがあります。
特に多いのが、定植時に根を傷めてしまうことです。
根鉢を崩してしまったり、根がちぎれてしまったりしないように丁寧に移植しましょう。
なお、根を傷つけて、生長が多少遅れても、暖かくなればだいたい大きく育ってくれますので、様子を見守りましょう。
日当たりが悪い
5点目は、日当たりが悪いです。
ナスは、日光が大好きです。日当たりが悪い場所に植えると苗の生育が悪くなりますし、病気の原因にもなります。
ですので、できるだけ日中に日光が当たる場所に植えてあげましょう。
露地栽培などであれば、周りの雑草に日光を遮られないように草刈りしておくと良いです。また、他の作物で日光が遮られないよう作付け場所や時期も調整すると良いでしょう。
連作障害
6点目は連作障害です。ナスには連作障害があります。
気温や肥料、水などに他の条件に問題がないのに、大きくならない場合は、連作障害の可能性があります。
植えてしまってからはどうにもなりませんので、ナス科の野菜を育てた場所では4~5年ナスを育てないようにしましょう。
とは言え、狭い場所で家庭菜園を営んでいる場合は4、5年あけるなんて無理ですので、あまり神経質になる必要はないと思います。
連作障害は出ないときは出ませんし、出たらそれで仕方ない、ぐらいで気楽にやるといいですよ。
土が悪い
7点目は、水が悪いです。
ナスの土は、適度に通気性や水はけが良く保水性もある土壌が良いです。たい肥などの有機物をたっぷりまいて、ふかふかの土を作っておくと良いです。
土の酸度は、pH6.0~6.5が適切と言われています。
また、水はけの悪い土で育てていると、根腐れ(土の中が水分過多で根っこが腐ってしまうこと)を起こすことがあります。特にプランター栽培の場合、日中に水をやると夏の暑さで蒸れてしまい根が傷むことが結構あります。
根腐れになると葉が黒くなったりしおれたりします。最悪枯れてしまうので注意しましょう。
根腐れの場合、土の質が悪いと、放っておいても良くなりませんので、新しい土に変えてしまうのも手です。新しい土にかえるときは、傷んだ根っこはカットして、植え替えて回復を期待しましょう。
以下の記事で野菜用の培養土をいくつか紹介しています。参考にどうぞ。
▶【家庭菜園:プランターの土】野菜を育てるのにおすすめの培養土は?
風通しが悪い
8点目は風通しが悪い、です。
ナスは、風通しが良い場所を好みます。
葉が生い茂っていると、風通しが悪くなってしまうので、葉っぱを適度(上から見てどの葉にも日が当たるよう)に剪定して、風通し良くすると良いです。
老化苗を植えてしまった
9点目は、老化苗を植えてしまった、です。
野菜の苗は、適切なタイミングで植え付ける必要がありますが、ポットなどの小さい容器に植えられたまま長い時間が経過すると、根がポット全体に回ってしまい、根が茶色くなって老化してしまった苗を「老化苗」と呼びます。
根が老化してしまうと、
・新しい根が出にくい
・活着しにくい
といった問題から、その後の生長に大きな影響が出ます。
以下は稲の場合ですが、健康な苗と老化苗の生長の比較です。参考にどうぞ。
苗を購入してきたが、その後なかなか定植できなかったケースなどがありますが、ポットから抜いてみたら、根っこばびっしり、かつ茶色くなっていた、という場合は、以下の老化苗の再生術を参考にしてみると良いと思います。
▶『ガーデニングのツボ(老化苗の再生術)』 高松農業高校・園芸科学科
以下は、東京農業大学の研究ですが、液肥、遮光、断根の三つの処置で、超老化苗でも復活できるという研究です。こちらも参考にどうぞ。
老化苗を植えてしまった後では、どうにもなりませんので、その場合は、追肥などをして生長してくれるのを期待するしかありません。
大きく育たなかった生育不良のナスの復活方法
ナスが大きく育たない原因などは上述の通りですが、生育不良となった場合に復活する方法は無いかという点についてご説明していきます。
極端な生育不良となった場合は、土が原因で病気になってしまったケースを除き、株を切り戻して若返りを図るという方法があります。
手順は以下の通り。
- 約30~50センチの高さまで株を切り戻す
- 花、実、および葉(老化したもの、傷んだもの、害虫のついたもの)を全て取り除く
- 追肥を行う
大きく株を切り戻すことで若い枝葉を新に生えさせ活力を取り戻すということです。秋ナスに向けて行う更新剪定と同様の効果が期待できます。
なお、上記作業は、8月中旬頃までにやると良いです。
まとめ
いかがでしょうか。
この記事では、
・ナスが大きくならない、育たない。なぜかな?
・ナスをうまく育てるために気を付ける点、注意点は?
・生育不良となったナスの復活方法は?
という疑問にお答えしてきました。
ナスの栽培は奥が深く、一般的な家庭菜園では、その能力の50%も引き出せないと言われるほど難しい野菜です。
100%引き出すと1株で100以上の実が取れるそうですが、私自身も完璧に育て切ったという年は今でもありません。
とは言え、家庭菜園は楽しむものなので、何かトラブルがあったら、それを新しい発見と楽しみつつ、改善してきましょう。
記事は以上です。何かの役に立てば幸いです。